今月の歌から世界の歌へ(11)・2016年4月~5月の歌・日本―「さくらさくら」と「荒城の月」を振り返って
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2016年今月の歌(5月から6月)編集時に、日本の演出家、映画監督蜷川幸雄(にながわ ゆきお、1935年10月15日~2016年5月12日)氏に例えられ時があった。
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蜷川さんは厳しいことで有名であった。駄目だしも激しかったと聞く。
今月の歌・日本特集で、私も様々なコンテンツについて駄目だしをした。
では、私も厳しいのか。厳しいかもしれないが、蜷川さんとは逆である。
似ているのは容姿だけではなかろうか。
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私は本来、歌手や映像に注文はつけない主義である。
歌手Aにこうやってほしいとか、映像を作成する人にこういう映像をつくってほしいとか、コンテンツを作成する人にこういうコンテンツをつくってほしいは、本来は一切言わないことを主義としている。
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何故ならば、プロの歌手、プロの演奏家、プロのカメラマンなどは、お客の知らない世界を提供するのがプロだからである。
落語家にこういう風に話をすれば面白いと、アドバイスを客がして、その通りにすればその落語家はプロではない。
客の知らない世界を提供するのがプロである。
同時にオリジナリティも他人から与えられるものではないからである。
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それではプレゼンテーションするときに困らないのか。
困るも何も、私は他人が作成したコンテンツの組合せで演出しているだけである。
そこで、Aというコンテンツが悪ければ、Aに注文をつけずにBに行く。Bも今一つならばCに行く。それでも駄目ならば、該当・対象国はパスし別の国の特集をする。
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実際に、2016年10月はイタリア特集予定でいた。しかし、私が「これ」と思うコンテンツがなかなか集まらない。イタリア特集は半年ほど前から計画し、コンテンツ集めをしていたが、一か月前にイタリアは延期とし、フランスに変えたことがある。
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通常、対象国を三か国から十か国程度候補を選び、収集・選定作業をしている。だから、集まるのに時間がかかれば、その国は後回しとする。
現在でも、世界の歌開始前に対象国はすでに十か国を超えている。
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要するに、注文はつけずにパスする方針でいる。
何が良いかは歌手、演奏家が自分で決めてほしい。
私の思いと合致すれば使用するし、そうでなければ別のコンテンツ、更には別の国を先に行う。
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そして、コンテンツ選択の基準は知名度、地位、格、キャリア、プロアマ、実績、年齢、政治信条、思想…すべて無視し、私が見て・聴いて良い物だけを採用する。ましてや、政治類は一切無縁である。
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これが私の方針である。
だから、内容について、本当は注文はつけてないのである。
一応、口では「○○○」と言っているが、内心は「私が知らない世界を提供するのがプロだろ」である。
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ただ、一端開始すれば、「このままでは駄目だ」は言う。
何故ならば出来ないコンテンツを幾ら集めてもできないからである。
だから、出来ないものは出来ないとだけ言う。
そして、本当にできないとなればパスをする。
それを実況中継で喋(しゃべ)っているだけである。
それだけのことである。
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ただし、昨年の日本だけは例外であった。
確かに注文をつけた。
理由は明快である。
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当初、寝ているときにサミットに合わせて日本をやってくれという打診のようなものを受けた。
その後、安室奈美恵の「ネバーエンディング」を自転車を漕(こ)いでいるときですら歌わされた。
その後も日本特集は思いつくコンテンツがないため、「ノー」と言い続けた。
すると、催眠誘導などで、徹夜で「竹田の子守歌」などを何度も見させられた。
途中安倍総理もテレビから「君は、オバマ・オバマという。では日本はどうなるのか…」などを言い、協賛参加を呼びかけてきたように思えた。
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そこで条件を出した。
一曲はジャングルブギ(黒澤明作詞)、そして歌手は笠置シズ子、映像は映画『酔いどれ天使』の中で歌っている場面、と。これがない限り「ノー」である、と。
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しかし、笠木シズコのジャングルブギだけのレコード版はでてきたが、映像が違う。酔いどれ天使の中の一部の映像はでてきたが、笠木しずこの部分は吹き替えであった。
そこで、再度、日本特集はノーと言った。
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だがその後も何度も催眠強要型で徹夜の連続で検討をさせられ、もう屈服した。これでは体力も持たないし、時間もロスし続ける、と。
さらに、口説き文句で「世界の首脳を日本に紹介するのは世界平和にもつながる」、ときた。
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もう、ともかく、徹夜強要の検討に参り、日本特集を2016年のG7にあわせてすることにした。
その間の経緯や、その後の経緯、関連してオバマ大統領の話などは、「日本のフィクサーME・続編メモ・二」で記すことにする。
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こうして日本特集をすることになった。
日本を代表する歌ということで「さくらさくら」と「荒城の月」とした。
だが、必要なコンテンツが集まらないばかりか、発想のレベルが全く違っていた。求める次元も違っていた。
本来ならば、それでは日本は後回しで、次の国へ、と行く。
ところが今回だけは先の事情で固定されていた。
〝次回へ〟が許されない状態に置かれた。
もっとも次回とは何か月先やら、何年先やら分からないが。
私が自分でつくるコンテンツならば無理もできる。
しかし、他人のコンテンツ利用である。
他人が作らねばどうしようもない。
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本来は、最初の原則で、具体的な中身は歌手・演奏家・カメラマンが決めてくれである。ところがただ単に待っていると、出てくるコンテンツが、私の評価の次元と全く違っていた。
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そこで、総論として、日本にカツを入れる意味もあり、韓国・アリラン特集を組んだ。韓国を見よ、と。
私の今月の歌に熱心に対応してくる国は幾つかある。
韓国もその内の一つである。
韓国をライバル視する政治家が多いのに、今度ばかしは〝ノホホン〟である。
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もっとも、韓国は韓国で何度か特集する予定でいたし、今後も定期的に特集する。
第一、今月の歌開始第一号が韓国(リムジン河)である。
そして、韓国を試しに調べてみると、良いコンテンツが幾つもあった。
それもあり韓国とした。
本格的に韓国に入ると、韓国は本年の再収集に至るまで、良質なものを提供し続けてくれた。私の方も今度は韓国のオリンピックに合わせてするか何かで、更に韓国特集をやろうという思いをするのは人の情である。
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もし、コンテンツが集まりそうならば、2018年平昌オリンピック(ピョンチャンオリンピック)協賛・応援は行う可能性が高い。
そのときは、韓国の歌、民芸、歴史、風土、観光、(可能な場合には私自身が撮影した)写真の大エベントとなるであろう。
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ただし、オリンピック反対者の意見もあるため、成り行きを見ないと不明である。
東京オリンピックの方は多分、協賛しない確率が90%である。特に、拘束されると、良いコンテンツがなくてもパスできないとなれば、質もおちれば、それ以上に私の労力も通常の何倍も要求されるからでもある。
理由はG7で懲りた。
しかし、再再度の日本特集は(拘束されない状態で)いつか行う。
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話を元に戻すと、とにかく、昨年の日本は開催直前まで気迫がでてこなかった。
本来ならば、百パーセント、ここで日本は延期としていた。
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「ブラジルを見よ」でブラジルもやった。
本当はリオオリンピックの時予定でいたが、前倒しをした。
だが、まだ、日本は駄目であった。
スケールが全く話しにならなかった。
そこでやむを得ずに幾つか注文をだした。
G7と結合されたり、強要されたりしていなかったならば、日本は延期決定だったがそれができない以上、やむを得ずの注文である。
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警告を発するため、今月の歌に掲載した文章を以下引用する。
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☆☆☆今月の歌三月から抜粋☆☆☆
※(2016年3月7日追記)今後の予定。
①ブラジルの歌も本年流す予定です。当初、3月の歌とも考えましたが、リオデジャネイロ・オリンピックに一番効果的な時期に特集を組むことを念頭に準備に入りつつあります。
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②日本でのサミットに合わせて、日本特集も検討しています。私の願いは、「さくらさくら」を、黒沢明監督並みの演出力を持った人の画像を含む大演出と、音楽は小澤征爾氏の総合指揮で…芸者さんの踊り、日本の桜の画像オンパレード、数十人の琴、尺八、三味線、……日本の伝統芸術の総動員を!でした。
サミット晩餐(ばんさん)会では会場の天井から、保存していた桜の花びらを舞い降らす。その場合には、私が撮影した桜の写真大特集のためのHPも別に立ち上げることも検討していました。歴史に残る演出をでしたが、どうも夢で終わりそうです。
しかし、世界の首脳をもてなす上で、何かをするかもしれません。世界の首脳は、日本にきたときには、その国のシンボルです。彼・彼女らに日本になじんでいただくことは平和への道だからです。
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③アメリカ大統領選挙が終わったときにアメリカ特集をもう一度するかもしれません。オバマ大統領がAmazedする(驚く)ようなSomething amazing(驚く何か)を準備できればとおもっています。ここで、私も政治との関わり合いが終わればと願っています。
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④プーチン大統領の訪日の実現に備えて、ロシアも特集する準備にも入りつつあります。
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⑤その他は、本年は各国のナショナリティ、その国の代名詞となる歌特集予定です。
☆☆☆抜粋終了☆☆☆
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☆☆☆今月の歌四月から抜粋☆☆☆
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※今後の予定(四月の歌・ブラジル特集の最後に下記を掲載)。
ブラジル特集は、オリンピックにあわせて一番有効な時期を考えていましたが、都合で今月ブラジル特集としました。
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五月は、原則として、サミットに合わせて、可能なコンテンツが集まれば、日本特集を検討しています。中心は「さくらさくら」ともう一曲です。日本の代名詞特集です。
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日本の歌とすれば、「佐渡おけさ」「南部牛追い唄」などの民謡、「五木の子守歌」等の子守歌、楽器では津軽じょんがら節(三味線)、春の海(琴、尺八)、各種祭りの歌、各種童謡などがありますが、それらはもう一回転した後に検討します。
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今回は国の代名詞とも言える歌特集としています。 可能ならば本年は韓国・北朝鮮=アリラン、ブラジル=サンバ、日本=さくらさくら、イタリア=オペラ、フランス=シャンソン、ロシア=ロシア民謡、アルゼンチン=タンゴ、アメリカ=アメリカの心を表現する歌、イギリス=イギリスの心を表現する歌、インド=?、……若しくは??。
☆☆☆抜粋終了☆☆☆
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これは注文というよりも、日本の意識改革を促した物である。
ともかく、パスできない状態に(後に『日本のフィクサーME・続編メモ』で記すが如く事実上の半暴力)で置かれた以上、強制をした日本に意識の次元で改革してもらわねばならなかったのである。
そうでないと、私のHPはガタガタになる。
浜田ブランドは崩壊する。
ともかく、収集作業は昨年初頭から開始していたが、全く話しにならなかった。
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提供されたコンテンツについて。
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コンテンツの供給は三つの側面から提供されてきたように思われた。
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①官僚型→官僚か何かが、提供してきたコンテンツ。
これが、本当に親方日の丸型であり、「つくればよいんだろ型」とか、適当に歌に同一写真をバンバン使用してくる「雛形(ひながた)志向型」、こだわりの欠如などがみられた。
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②映画関係者型→映画関係者と思われる人たちが提供してきたコンテンツ。
これは一部良いものがあったが数が少なかった。ただし後半や一年おいて本年などはかなりみられるようになった。
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③海外応援組→海外の人が見かねて、提供してきたコンテンツ。
最終的にも「さくらさくら」は海外産か、日本のコンテンツを海外による再修正型、これらが今月の歌・今週の歌・G7「さくらさくらと荒城の月」に掲載したコンテンツの内7割以上をしめたのではあるまいか。しかも、2か月のロングランで、海外からどんどん新鮮なコンテンツが登場してきた。
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ともかく、「さくらさくら」ではなく「Sakura Sakura」に頼った。荒城の月も「Kojyo no tuki」か「The moon over the ruined castle」で検索した方が効率ははるかによかった。
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ただし、当初の唯一の救いは「桜の月」(荒城の月と桜桜の合体曲)の登場であった。これは官僚型でもなく、映画型でもなく、海外応援型でもないと思われた。拙著『日本のフィクサーME』の舞台で言えば、オジョウが協力したのではないか、と想像している。
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様々な人の努力もあり、これ以上は書くまい。
ただし、一つだけ言えることは、海外組(外国の人)の作品は〝日本〟をどのように表現しようかと思案した跡があるが、日本のそれは余り〝日本〟を強調していないことであった。
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また今月の歌・日本特集においての悔恨の念を抱いたことを記す。
由紀さおり・安田祥子姉妹の「さくらさくら」を「今月の歌」に掲載予定が、掲載直前に催眠型で別の歌と交替させられた(私の本当の意思ではなかった)。
まさに掲載の数秒か数分前である。一度掲載すると変更しないと明言しているため、変更は無理となった。そこで、今週の歌の方には由紀さおり・安田祥子姉妹のコンテンツを掲載し続けた。
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前者(由紀・安田姉妹のコンテンツ)は歌、映像、などマイナス点ゼロ、着地も見事であった。後者は同じ写真が四度登場、ピント外れ多し、場面構成が違う、撮影時間が違う、太陽の角度が違う…の映像オンパレードであった。
しかし、コンテンツには悪い評価はしないを原則としているため、これ以上は書かない。
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問題あるコンテンツは一切批判せず、黙って使用しないだけを原則としている。だが、無理矢理催眠型で、私の意に反して交替させられるのは心外であった。
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