今月の歌から世界の歌へ(14)・フランス―「マイウェイ」「愛の賛歌」、そして横と縦の世界

今月の歌から世界の歌へ(14)・フランス―「マイウェイ」「愛の賛歌」、そして横と縦の世界。


(1)横と縦―横の世界。

 今月の歌・今週の歌を開始し、世界を紹介してきた。そして、日本のマスコミや常識なるものの限界を感じた。日本のマスコミは横着である。先端の人ですら、アメリカの情報だけを追う。欧州の歌手ですら、アメリカで話題となってから日本に紹介することすらある。そして、ひどいマスコミとなると、誰かがアメリカの情報を仕入れたのを横流しで紹介するだけである。相当熱心な人ですら、英仏独程度である。

音楽と無縁である私は、常識にとらわれず、世界の対象国をダイレクトに当たった。ある程度見当をつけ、現地語で検索しまくった。ラテン語系の文字はよいが、アラビア語などは参った。それどころかハングル語ですら相当参っている。

ともかく、その結果、日本で紹介されていない凄(すご)い歌手がどんどんでてきた。南アフリカ共和国、ペルー、インドネシア、ブラジル、ロシア、フィリピン、…と。欧米の超一流歌手と遜色のない、日本では知られていない歌手が出てくることすらあった。私が、歌で欧米だけを見ていると人生のロスである、と何度も言った通りである。

お隣の国・韓国ですら、日本では余り紹介されていない良い歌手がかなりいた。私が何回か紹介したソヒャン(Kim So-hyang)などである。それ以外にも何人かいる。不思議なことに韓国の新聞日本語版(朝鮮日報、中央日報、ハンギョレ…)に目を通しているが、ソヒャンなどはこれらの新聞にも登場しない。当然、日本でも紹介されない。どうなっているのだろうか、と思うことがある。

中国の代表的歌手・宋祖英(そう そえい、ソン・ツーイン、Sòng Zǔyīng、1966年~)ですら、知らない日本人は多い。ましてや、私好みの二胡演奏家・朱昌耀(1956年~)となれば知っている人は希(まれ)であろう。来年か再来年中国特集を行う予定でいるが、そのときに中国の歌手を何にも紹介する。驚く人もいるであろう。同じく来年か再来年別の歌で紹介予定のロシアも同様である。

これが横の世界である。

※マイウェイも愛の賛歌も、次週アジア版を紹介する関係で、日本・韓国の歌手は今回解説していない。


(2)横と縦―縦の世界。

縦の世界とは歴史である。歌と映画は新しいものほどよいという偏見(私がよく使用するイドラ)に陥っている。絵画や小説はそうではない。むしろ古い物の方が評価されることが多い。絵画ならば「モナリザの微笑み」から始まり、ダビンチ、ルノアール…など。最近の物で評価が高いのはピカソ程度である。彫刻もミロのビーナス、日本なら広隆寺弥勒菩薩(ぼさつ)などである。

小説も、シェークスピア、ドストエフスキー、トルストイ…と。日本でも、川端文学の美文が…というけれども、美文ならば松尾芭蕉、更に古い方丈記、徒然草(つれづれぐさ)などの方がよい。

ところが、歌・歌手や映画となると古いものは無視される傾向がある。古いものを十分見て見飽きているならば分かる。だが、まだ見ていないのならば、古い・新しいは無関係のはずである。古いものも、新しいものも未知の世界で同格である。そうならば良いものが良いはずである。

映画でも昔のをみていならば一度見ることを勧める。黒澤明「七人の侍」「酔いどれ天使」「生きる」「赤ひげ」…新藤兼人「裸の島」、木下恵介「二十四の瞳」…を。チャップリンを見ていないならば、「黄金狂時代」「サーカス」「街の灯」「ライムライト」…を。

同様に、歌・歌手でも、昔の歌を聞き飽きていないならば、昔・今を問わずに良いものは良いである。日本の歌手でも笠木しずこ、李香蘭などはすばらしい。今との比較はしない。比較でなくて、ただ単にすばらしい。

海外でも横のみならず、縦(歴史)の線をたどるとすばらしい歌手が何人もいる。それらの歌手を一度も聞いていないならば、人生のロスであろう。

音楽音痴の私は何も知らないため、一から手探りで探した関係で、こうした凄(すご)い歌手に何にも出会うことになった。

横の軸は来年から開始の「世界の歌シリーズ」で出会うであろう。日本では無名の凄い歌手に何人も出会おうであろう。先の笠木しずこも世界では無名である。今の世代では日本でも知らぬ人が多い。まして世界の今の世代となると誰も知らない。縦の軸から見ると、世界には、日本人が知らぬ凄い歌手が何人もいたことが分かるであろう。



(3)今回、フランスの愛の歌・マイウェイ特集で登場した主な歌手を紹介する。

(A)マイウェイ

①クロード・フランソワ(Claude François、1939年2月1日 – 1978年3月11日)は、フランスのシャンソン歌手。本来、この歌は彼の作品でフランスの歌である。歌詞は英語版と大きく違う。

②ミシェル・サルドゥー (Michel Sardou :1947年1月26日~)

③ポール・アンカ(Paul Anka, 1941年7月30日 – )は、カナダ出身のシンガーソングライターで「ダイアナ」”Diana”で世界的に知られる。今回収録のマイウェイはすばらしかった。ちなみに、英語版マイウェイの作詞は彼である。

④フランシス・アルバート・”フランク”・シナトラ(Francis Albert “Frank” Sinatra、1915年12月12日 – 1998年5月14日)。上記の英語版を歌った歌手の代名詞がシナトラである。

⑤エルヴィス・アーロン・プレスリー (Elvis Aron Presley, 1935年1月8日 – 1977年8月16日)もこの歌を歌っていた。

⑥イル・ディーヴォ(Il Divo)は、2004年11月、イギリスでデビューした4人組のヴォーカル・グループ。4人それぞれの出身国が違い、確かイギリス出身者はいない。四十代前半前後のグループである。まだなお伸び盛りである。


(B)愛の賛歌( Hymne à l’amour)

①エディット・ピアフ(Édith Piaf, 1915年12月19日 – 1963年10月11日)は、フランスのシャンソン歌手である。今回、何回か紹介しているので御覧いただきたい。二十世紀の著名歌手として歴史に残る歌手である。

②ミレイユ・マチュー(Mireille Mathieu, 1946年7月22日 – )は、フランスの女性シャンソン歌手。彼女も凄い。現在七十才くらいであるが現役かどうかは調べていない。

③シセル(Sissel、1969年6月24日 – )は、ノルウェー出身の女性歌手。私好みの歌手であるが、今回紹介できるかどうかは不明である。そのくらい今回も層が厚い。ただし、イギリス特集、その他で何度も登場したし、今後も登場予定の歌手である。可能ならば、「世界の歌」シリーズでノルウェーか北欧特集ができることを願っている。

④メリー・ホプキン(Mary Hopkin, 1950年5月3日 – )は、ウェールズ出身の英国の歌手で、悲しき天使などで有名である。

ホセ
⑤ホセ・カレーラス(José Carreras、1946年12月5日 – )は、スペインのテノール歌手で、1990年代から2000年代にかけて、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴとともに三大テノール演奏会に出演してひろく名声を得た。日本でも、「徹子の部屋」に登場したことがあると聞いた。
ちなみに、黒柳徹子さんが、「こちらがカレーライスさんです」と紹介したそうである。今回紹介できるかどうかは不明であるが、既に何度も紹介したし、今後も何度も紹介予定の歌手である。

⑥それ以外に、フランスのパトリシア・カース (Patricia Kaas, 1966年12月5日 – )、ベルギーのララ・フェビンさん(Lara Fabian:1970年~)、ブレンダ・リー(Brenda Lee, 1944年12月11日 – )などがいた。


ともかく、縦と横の線から、私がしばしば言っている(現代の)欧米だけ見ていると人生のロスという意味も分かるであろう。
来年からの世界の歌シリーズでは、国の名前すら知らない国も紹介予定であり、その国で未知の歌手・未知の歌と出会うこともあろう。コンドルは飛んでいくの如(ごと)くに。



(4)(世界の歌開始までの)今週の歌シリーズの予定。
世界の歌シリーズ開始までの予定は下記の通りである。ただし、若干の変更があるかもしれない。

ここで重要なことを二点記しておく。
一点は、これだけ苦労して探した歌であり、過去の歌に関心がある人と共有するため、現在世界の歌ブログを立ち上げている。しかし、リンク切れ対策問題などから、このブログは2018年中頃で閉鎖するかもしれない。

その代わり、世界の歌HPを立ち上げることになるが、「世界の歌HP」では毎回入替え方式で長期掲載することはない。多分、長くて1月~2か月限定掲載となる。関連今週の歌は毎週入替え方式で、世界の歌ブログの如く形で長期掲載はしない予定でいる。そこで必要な人は早めに対策をとっていいただきたい。


11月5日、アメリカのトランプ大統領が訪日する。下記の予定の如く、本来は米国特集は偶然か否か、ちょうど11月5日からであった。しかし、中国特集5週のところが6週となり1週間ずれた。だが、一週間の誤差ならば、フランスとアメリカを一週だけ入れ替え、11月5日からの一週間は米国特集とし、その後フランス特集の残り分1週、その後で米国特集の続きとする。(詳細は下記予定参照。)

もう一点は、トランプ大統領が単独インタビュー等で日本のTVに出演すれば見るであろう。しかし、日本の首脳などと一緒の場合には原則テレビは見ない予定でいる。これはトランプ大統領のみならず、世界の他の首脳でも同様である。日本の法律には違反していない。


中国が5週予定が6週となったため以下検討中(悪まで案)
①10月08日中国・フィナーレ
②10月15日フランス・前週祭
③10月22日フフランス(マイウエイ・愛の賛歌)
④10月29日フフランス(マイウエイ・愛の賛歌)
⑤11月05日アメリカ前週祭
⑥11月12日フランス・フィナーレ
⑦11月19日アメリカ(聖者の行進)
⑧11月26日アメイジンググレイス(アメリカ中心)
⑨12月03日アメイジンググレイス(アジア)
⑩12月10日予備日
⑪12月17日 アメイジンググレイス(欧州)
⑫12月24日 アメイジンググレイス(英国)
⑬12月31日イギリス(蛍の光)
⑭2018年1月7日イギリス・フィナーレ

★(以下世界の歌シリーズ開幕)
2018年1月14日イタリア・総合


当初予定は下記であった。(ところが中国5週予定が6週となったため、フランスは10月15日開始となった。下記フランス以降が一週間ずれる。そこで上記の如く形で対応検討でいる。)
①10月08日フランス前週祭
②10月15日フランス(マイウエイ・愛の賛歌)
③10月22日フランス(マイウエイ・愛の賛歌)
④10月29日フランス・フィナーレ
⑤11月05日アメリカ前週祭
⑥11月12日アメリカ(聖者の行進)
⑦11月19日アメリカ(アメイジンググレイス)
⑧11月26日アメイジンググレイス(アジア)
⑨12月03日アメイジンググレイス(その他)
⑩12月10日アメイジンググレイス(欧州)
⑪12月17日アメイジンググレイス(英国)
⑫12月24日イギリス総合
⑬12月31日イギリス(蛍の光)
⑭2018年1月7日イギリス・フィナーレ

★(以下世界の歌シリーズ開幕)
2018年1月14日イタリア・総合